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4月28日木曜日: 四十九日なのに

《4月28日(木)》
あらためて東日本大震災から49日目……

朝。
本部を出ると、目の前の野川越しの森の上の方に、太陽光パネルを乗せた大きな建物が見える。
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いったい何の建物なんだろう。

太陽の恵み。しかし、太陽って、巨大な核融合システムだもんなあ。オゾン層が放射線を遮ってくれているから、地球上の生物は生き延びてこられた。
でもさ、微量の放射線が生物の遺伝子を壊したからこそ突然変異が現れた。それがなければ「進化」などなかったらしい。

実は、我が家の屋根にはかなり大きな太陽光パネルが乗っている。導入したのは2003年のはじめなので、もう足掛け9年になる。いずれ発電量などの詳細なデータを御報告しようと思っている。

昼。
“あさの”に、昼飯を食べに行く。
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浅野さん、いつもいつも、お気遣いありがとう。
「居酒屋あさの」のカテゴリ記事が、まだふたつばかり暫定なので、それを書いてから今日のことも書く。

午後。
木曜日なので、宇夫方女史は琉球舞踊教室の日。

夜。
龍谷寺にて、山猫合奏団の合わせ。やっと練習ではなくて、合わせといってもいいような段階になった。
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「あれ、古本くん、こんなふうに楽器置いていいの」
「金管はそんなもんです」
そんなこたあないだろう。しかし、古本大志君がいれば、本番なんてどうにかなっちまうだろうという安心感。

四十九日。本当ならば一区切りなのに。休みなく続く営み。

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《4月28日(木)午前3時》
つまり、最後のあがきなのだ。5月1日の宣伝。きっと効果はないだろう。でも、何かしないと後で後悔する、そんな思いに動かされている。
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(※何故彼らがこんな時間までここにいたのかは、後日、追記します。)
[subcate.山猫合奏団]

久しぶりのMIRROR_BALLだ。
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ブラックライトと蛍光塗料。それだけのことなんだけどさ、なんだか放射能に汚染された亀に見える。こういう表現、シャレにならないのかなあ。顰蹙、そして抗議?
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やっぱり、震災以来お客さんは激減したらしい。週末のDJも勿論やめていた。もしやったらそれこそ大顰蹙、近所からは抗議の嵐だな。

「こんなこと言っちゃいけないんだけどね、被災地の農業や漁業は国が補償してくれるからねえ、でも我々は……」
「言っちゃあいけないことだけど、震災特需で、2年我慢すれば絶対良くなる」

2年か。それまでこのM.A.P.after5という連載ブログ、はたして続けていられるかどうか。きわどく言っちゃいけないことを避けながら。
メルトダウン寸前の……、やめておこう。
いわつる49日の午前3時になった。

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《4月28日(木)午前0時~2時》
市民劇の稽古が終わって、事務所に戻った。
間もなく午前0時を回って災震から49日目になる。
「49日か……」
しかし、未だ行方不明の方が1万人を超えているのだ。今後、もしその方たちの御遺体が見つかったら、49日の御供養はどうなるのだろう。

2009年の日本国内の死亡者は114万4千人だったらしい。ということは1日の平均死亡者数はおよそ3000人。2009年の1年間で、日本人は7万5千人減ったという。

特に意味はない。ただ、震災で亡くなった方と行方不明の方、合わせて2万人を越えるという数字が、いったいどんな数なのか、眺めてみたかっただけなのだ。でも結局、やっぱり無駄なことだった。

と、「今、鳥研にいる」という宇夫方女史の電話。もう閉店時間だろう、「でも、まだ火落としてなくて、高田君、焼いてくれるって」、それならと事務所を出た。

筍のお通し。
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「今日はお客なんです、お先に」
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彼女とは去年の8月以来もう何度も会っているのに、まだ名前を聞いていなかった。今日もまた聞きそびれた。

宇夫方女史は、こんな人と相席していた。
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聞けば、炭屋さんの息子さんだそうで。ということは、彼の奥さんは、すでにM.A.P.after5に登場したゆきこさんというわけ?それも確認しそびれた。

「なんで」
「高田君がね、同席しろって」
「どうして?お母さんと知り合いだって知ってたの?」
すると高田くん曰く「なんとなく……」
相変わらず、変な奴だ。

つい原発のハナシをした。沖縄の血が流れているのなら、原発などないほうがいいと無条件に思っているに違いないという、震災の前だったらありえないおかしな思い込み。それを前提にハナシを始めた不用意。

「電気がなくなってもいいっつうことすか」
そう言った彼の目に、僕は腹を立てた。
「もちろん」
決意の問題だ。今の状況は、そういう決意を我々に迫る何ものかだ。今そうした決意ができないとすれば、もう二度と、人間の生き方を根本的に問い直す機会が我々に訪れることはないだろう。これは、未来に対する想像力と哲学の問題であるはずだ。

しかし彼は、単純な反原発を主張する愚かさを高みから見下ろして、もう少し俺は成熟しているのだとでも言いたそうに、そして自分の意見は披瀝せず、ハナシを切り上げた。彼は結局、何も語ってはいない。

たぶん、彼は間違っちゃいない。僕だって彼と同じ、たった今この時間、同じ電灯の下で飲んだくれて、炭火で焼いた決して安いとはいえない焼き鳥を頬張っているのだ。被災地では未だ満足な食料もないというのに。それなのに、偉そうに電気などなくなってもいいと、口の周りを鶏肉の油を光らせながら真顔で言う欺瞞。それに比べれば、彼のほうが余程正直だ。

それでも僕は語らねばならないと信じている。

この日お店を手伝っていたバイト君は大学生。教員になりたいのだという。歴史の教師。
「原発について、どう思う」
「興味、ありません」
今から30年前、アイヌのこと、沖縄のこと、僕が何を言っても、まともに考えようとする者はいなかった。原発のこともしかり。そして僕は語らなくなった。その後悔が蘇ってきた。

「世界のエネルギーのほとんどは、一部の国の恵まれた人々によって消費されている。そうではない大多数の人々は、全く違う生き方をしている。ここまで進んだ文明、もう後戻りなんかできるわけがないという主張は、一見あたかも現実的な考え方のようだが、実はいかに一部の人間の勝手で傲慢な思い込みであるか、そのことに思い及ばないような想像力のない人間に、教師なんかになって欲しくはない。お願いだ。君が教師になりたいというのなら、今こそ原発について考えて欲しい。考え続けて欲しい」

数字をあげればさ、アメリカと中国と日本とロシアの四ヶ国だけで、世界の電力の半分以上を消費している。消費量の多い上位12国で、70%を越えるということ。だが、やはり数字ではない、という気がする。正確な数字は大切だが、それだけでは何かを取り逃がす。

彼は黙って聞いていた。

鳥研は、帰り際、表まで出てきて送ってくれる。今日は男ふたり、色気ねえなあ。
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「例の、電力中央研究所の原子炉のハナシだけどさあ、そんなものはなかったらしいよ」
僕は先日安永さんに聞いた話を高田くんにした。
「いや、そうでもないみたいですよ」
「え?」
「あの地震の後、なんか秘密に建物を解体してたんですよ。工事前、電研の人が来て、それでお金をもらった人がいるとかいないとか……」

中央電力研究所は、いつもより闇に包まれているように見えた。
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真偽は全くわからない。したがって【拡散希望せず】……


高山正樹 Masaki Takayama
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