去る2月14日に、わたくし高山正樹は、ある朗読会に出演いたしました。
その朗読会の告知記事

その時、出演された河崎卓也さんと伊達裕子さんが、17日のセロ弾きのゴーシュの試演会に来てくださいました。
セロ弾きのゴーシュの試演会の記事

14日の朗読会の会場として使わせて頂いた“ばくだん畑”のママさんから、当日の画像が届きました。
それをちょこっと御紹介いたします。サイズを小さくして送っていただいたので、ちょっと見にくいかもしれませんが御容赦を。

まずは伊達さんと河崎さんの舞台の様子です。
伊達さんは泉鏡花の「海異記」を、河崎さんは渋澤龍彦の「女体消滅」をお読みになりました。うーん、怖い……
伊達さん 河崎さん

そして休憩。
そのあと、矢内のり子さんの江戸川乱歩「人でなしの恋」の朗読があって、わたくしが最後。
なんで僕がトリなんですか、他の皆さん御三方とも、朗読の世界では華々しい経歴の持ち主、その方々を差し置いてトリ取るなんて、勘弁してくださいと申し上げたのですが、もうプログラムに書いちゃったからだって。
プログラムの内容はこの記事下部の「続きを読む」からご覧ください。

そして…
カウンターで朗読

え? いったいお前は何をしちょるのだ、ただBarで飲んでるだけではないのかと、不信に思われる向きもあるかと存じますが、いえいえ決してそうではございません。お客様に、わたくしめの朗読を聞いて頂いているのでございます。
(確かに、ほんとに飲んでいましたが。)

この記事下部の「続きを読む」でプログラムを見ていただければおわかりいただけるのですが、今回の朗読会は、シリーズで、今後毎月一回のペースで5年間、なんと怪談ばなしを100本やってしまおうという前代未聞の企画。
この日もすでにお客様は一時間半近く、おどろおどろした世界を聞かされているわけで、少しばかりお疲れになっているのではないかと心配したのでございます。で、急遽ちょいとひねりを加えてしゃべってみようと思い立ったのです。

行きつけのBarに入って、カウンターに座ると、ウィスキーのグラスとチェーサーが運ばれてくる。そこにはホッチキスで留めた数枚の紙切れが置いてある。
「ママ、何これ。え?、おもしろいから読んでみてって?、どれどれ……、えーと……、『蜘蛛』…、遠藤周作か…」
男はおもむろに、ぶつくさとそれを読み始める……

まあ、こんな感じで始まります。“ばくだん畑”のお店の雰囲気を生かした思いつき。そんな突然の身勝手を、好きにやらせてくださった主宰者の松田建仁さんと、わたくしのお遊びに快くご協力くださったママさんに感謝であります。

お話しの内容は、東京は四谷の怪談会に招かれて、渋々やってきてはみたものの、やはり退屈した遠藤周作氏らしき男が、自分の体験談をとっとと済まして世田谷の成城まで帰るのだが、あいにくの雨でなかなか車がつかまらない、そこへすっと寄ってきた一台のタクシー、顔を出したのは先ほど怪談会で見かけた男、どこまでお帰りですか、私は喜多見なのでどうぞお乗りください、これは助かったと同乗することになった。

カウンターで朗読2

はたして、この朗読会こそがその怪談会であったのか、現実と小説の虚構の世界の区別が、いつしか分からなくなる… なんてね、そこまでいけばおもしろかったわけですが。

そして、喜多見に帰るその男は、実は人の血を吸う蜘蛛だった(?)という話。
(というわけで、正月の歌舞伎の「土蜘蛛」をミステリーにしていたわけです。分かりにくくてごめんなさい。)

話し終わって、ママに、「喜多見まで帰るからタクシー呼んで」と声を掛けたところをきっかけにして、スッと明かりが落ちて終わりという演出を、しゃべりながら思いついたのですが、照明の打ち合わせをしていなかったので諦めました。

というわけで、第2回にも、わたくし出演させていただくことになっております。チラシなど仕上がり次第、こんどはきちっとここで告知いたしますね。

お後がよろしいようで。って落語会じゃないってば。
四人整列
(文責:高山正樹)


【怪奇幻想朗読百物語(あやしおそろしひゃくがたり)】◆第一夜プログラム◆

――「文学の極意は怪談である」佐藤春夫――

怪談奇談・妖異幻想。
古今東西怪奇譚百話を選りすぐってお届けする朗読会。
聞いて震撼、見て驚異。
これは、世にも不思議なトワイライトゾーンに入り込んだ人間たちのドラマである。

〈演目〉
泉鏡花「海異記」 朗読・伊達裕子
渋澤龍彦「女体消滅」 朗読・河崎卓也
江戸川乱歩「人でなしの恋」 朗読・矢内のり子
遠藤周作「蜘蛛」 朗読・高山正樹(特別出演)

≪作者紹介≫
◆泉鍍花(いずみ・きょうか)伝統的な妖怪変化の時代環境に育ちつつ、近代文学の草分けとなった。明治6年(1873)金沢に生まれた。尾崎紅葉門下として「夜行巡査」「外科室」など、いわゆる観念小説の作家として世に出たが、やがて本来の気質を発揮し、神秘感漂う作風に転じた。明治40年代の自然主義全盛時代にも、超然として反現実の世界を描き続け、そのことによって土着の精神の鮮かな形象化を達成した。昭和14年(1939)没。

◆渋澤龍彦(しぶさわ・たつひこ)昭和3年(1928)東京芝高輪に生まれる。東京大学仏文将卒。昭和29年、シャン・コクトー『大股びらき』の翻訳を処女出版。『マルキ・ド・サド選集』や評論集『サド復活』で一躍脚光を浴び、『悪徳の栄え』発禁処分に端を発するサド裁判の被告としても勇名を馳せた。昭和56年に泉鏡花文学賞を受賞した『唐草物語』をはじめ、珠玉の短篇集や遺作となった長篇『高丘親王航海記』(読売文学賞)など書き継いだ。昭和62年(1987)没。

◆江戸川乱歩(えどがわ・らんぽ) 日本ミステリー育ての親である。明治27年(1894)三重県に生まれた。早大卒業後、十数種の職業を転々としながら、欧米の推理小説を耽読。大正12年(1923)、処女作「一銭銅貨」が「新青年」に掲載されたのを皮切りに、草創期の探偵文壇の牽引役として活躍。「蜘蛛男」に始まる通俗長篇スリラーや《怪人ニ十面相》連作でも絶大な大衆的人気を博した。昭和40年(1965)没。

◆遠藤周作(えんどう・しゅうさく)大正12年(1923)、東京巣鴨に銀行員の父・常久の次男として生まれる。10歳のとき父母の離婚により母に伴われて神戸に住む。カトリック教徒の伯母の勧めで受洗。灘中学校卒業、慶応義塾大学文学部仏文科に進学し、モーリヤック、ベルナノスなど二十世紀カトリック文学を研究。昭和30年「白い入」により芥川賞を受賞、創作活動に転じ、『海と毒薬』(毎日出版文化賞)でキリスト教作家としての地歩を築いた。平成8年(1996)没。

≪出演者プロフィール≫
伊達裕子 都山流尺八師匠の父の影響で、子供の頃より琴三味線の音色に親しむ。その表現の世界がいつのまにか形をかえ朗読に。NPO日本朗読文化協会第1回朗読コンクール優秀賞、同第2回、奨励賞受賞。第13回国際芸術連盟朗読オーディション合格。朗読グループ「かたかご」代表。ことのは楽団「くう」共宰。

矢内のりこ 劇団「ザ・スーパー・カムパニー」にて、女優として活躍。その後、朗読を山内雅人氏に学ぶ。現在、長池ネイチャーセンター朗読の会(八王市)講師。NPO日本朗読文化協会認定講師。朗読ユニット“アンシャンテ”主宰。松田建仁と、朗読と篠笛の“ゆにっと玉響”共宰。ドラマチックリーディングを提唱。

河崎卓也 1964年北海道生まれ。演劇家。16年のIT系エンジニヤのキャリアの後、演劇の世界に足を踏み入れる。特定のカンパニーには所属せず、俳優として多くの演出者のもとで経験を積む。声・ことば・演技・歌を磯貝靖洋に師事。「ことばぢから」を磨いている。NPO日本朗読文化協会第2回朗読コンクール最優秀賞受賞。

高山正樹 (省略)

さて、次回は、2009年3月14日(土)。演目は、夏目漱石「蛇」・川端康成「片腕」・上田秋成「蛇性の婬」の三作品をお届けする予定です。この会は、これから百話まで続きます。ぜひ毎回続けてお越しください。