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11月10日木曜日: 日常……(再投稿)

《8月29日(月)》
大震災から172日目……
赤ん坊たち。
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いかん、擬人化することはやめようと決めたんだ。


11時19分。本日の事務所の空間放射線量。
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0.07μSv/h。


【何故か呟きたくなった……】
18:50
昔。毎晩僕は眠りの中で自分が癌であることを忘れた。朝「癌?いやな夢……」スーッと意識がはっきりするにつれ「夢じゃない、俺は癌なんだ」と思い知らされた。そんな毎朝の目覚めが怖かった。今、多くの人が、考えたくないことを朝の来ない夢の中へ追いやろうとしている。

分かりにくい呟きだ。
2009年の6月のこと、ある人の死が契機になって、僕は“社長とは呼ばないで”にひとつの記事をアップした。
 ⇒乗り越えてはいない
そうか、僕はこの文章の要約を呟いたのだ、と、呟いた後に気がついた。
これ、流行の言葉で言えば、正常性バイアスってやつだ!


夜8時帰宅。
やっぱり気になる我が書斎のちょっと高めの線量。
入る前にドアの外で調べてみた。待つこと5分。0.11μSv/hから動かない。
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因みに、鍵にくっついている飾りはサーターアンダギー。
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言われなきゃなんだか分からない。
さて、中はどうなんだ?
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おんなじだ。ということはこの建物全体が高いのか。建材が原因?だとすれば気にすることはなく、ひとまず安心なのだが。

ある人のツイッターで、金城実さんのTV出演情報を知った。BSをつけてみる。
鶴瓶のなんとかという番組。結局今日は金城さん、出てこなかった。
予告編。
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どうやら来週の後編にお出ましらしい。
ナレーションは久米明さん。声は建材、じゃない御健在。ひとまず安心。
だが、洒落ではなく、訓練された俳優の声って、まるで強固な建材のようだななんて思いついて、ひとり部屋の中でニヤニヤしていた。

すると、「日常」という言葉が、ふいに思い浮かんだのだった。
(高山正樹)


宇夫方女史から、この日の報告が届いた。

私がお世話になっているオフィス成城保険の懇親会が、今晩ありました。久しぶりにみんなの顔が揃いました。世田谷支社の担当の方も見えました。そして成城学園前のイタリア料理のお店で、みんなで食事をしました。
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8月17日のS社での記事もそうなのだけれど、今までなら書かなかった類の話題。なぜそんな報告をアップしたのか。
これから、こうした仕事の報告が増えるということかというと、そうではなくむしろ逆で、今書いておかなければ、今後書く機会がなくなってしまうかもしれないから、それで書いた記事なのだ。

いつまでも変わらないと無意識に信じている日常は、いつだって少しずつ変質していっているのであって、そして、なんの予告もなしに突如弾けるのだ。地震のように。



《8月25日(木)-3》
事務所に戻ることはせず、今日はそのまま自宅へ帰る。
そして、まずは我が書斎を調べてみることにした。特に意味はないが、喜多見の事務所と同じように、線量計は三線の上に乗っけてみた。すると……
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0.12μSv/h、なんてことだ、狛江の本部とこの書斎と、自分の足元で一番高い数値が出た。どちらも鉄筋のマンションである。

ここでもベランダに出て計ってみた。
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室内を徹底的に掃除をしてみよう。それでもし数値が下がればそれでよし、下がらなければ下がらないで原発が原因ではないということになるわけだから、原発由来の見えないα線やβ線の存在を気にする必要がなくなる。と、考えてみたのだが、さて、正しい考察なのかどうか。

いずれにしても、この程度の数値で何を神経質な、である。この数十倍の線量の中での生活を余儀なくされている人たちにとっては、僕の考察など、耐えがたきママゴトに見えるだろう。だが、自らの置かれた状況を出来うる限り自分の手のひらに乗せておくことなしに被災地を気に掛けてみたところで、その眼差しはきっと虚ろである。程度の差がどれほど大きくとも、我々も被災者なのである。それを忘れて、支援などないと、今の僕は思っている。

「書斎の数値」という表題に、あえて「僕の」と付け加えてみた。

【そして呟いたこと】
16:31
いまのところ原発ばかり気になって、ツイッターはその情報収集という意味合いが強くなってしまっています。本意ではないのですが。


原発のことなんか全く気にしていない宇夫方女史は、この日も2箇所で琉球舞踊を教えていた。
 ⇒M.A.P.琉球舞踊教室の専用ブログ
どなたかのお土産……
沖縄東村のマンゴー


《8月25日(木)-1》
大震災から168日目……
本部の線量が少し高い。場所は言わない。鉄筋の8階である。
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ずっと忙しかった。自宅に帰れない日はここで眠る。風呂に入る元気もなく、倒れるように布団にもぐったのも、一度や二度ではない。もしかすると、体や髪の毛についた放射能を、そのまま寝具に擦り付けたのかもしれない。内部被曝?今さらどうにもならないが、あまり気持ちのいいものではない。だが、原因は定かではない。

部屋の外はどうなんだ?中の数値と変わらなければ、少なくともこの部屋に特化した内部被曝はないということだ。ベランダに出て計ってみた。
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微妙な結果である。

一般に鉄筋の建物は線量が高いという。0.12μSv/h、もともとこんなものなら、空間線量の値としてはどうってことはない。ともかく、もう少し調べてみたい。それには、他の部屋の数値を調べるのがいいのだが、親しい付き合いがない。

ちょっと雨模様。そこで事務所の入り口外(2階)で線量を計ってみることにした。
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待つこと5分。
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だからどうなんだって感じ。

もう一個、雌花発見。
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去年みたいに一生懸命探せばもっとあるのかもしれないが、今年はやめた。このちっちゃな奴が、ちゃんと育つかどうかを確かめるのもやめた。うまく言えないが、たかがゴーヤーなのに、育つか育たないかを人間になぞらえるようなことは、なんとなくいけないことのように思えて……、言葉にしてしまうとウソっぽい。

この土が気になる。
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セシウム137はβ崩壊して(β線を出して)バリウム137となるが、94.4%がバリウム137mを経由する。つまりバリウム137mからバリウム137になる時にγ線が放出される。ということは、土がセシウムで汚染されていれば、DoseRAE2でもセシウムの影を捕らえることができるってことじゃないのかね。
いやはや、わからん。

ともかく昨日と同じ条件で、室内を計ってみることにした。
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昨日が0.04μSv/h、そして今日が0.06μSv/h。表は0.07μSv/h
「で?」
「さあ……」
なんだか夏休みの自由研究みたいになってきた。

【そしてなんとなく呟いた】
12:35
ここ半年くらいシャンとしていた精神が、またどうも分裂しはじめた。あんまりな現実が原因で起きる多重人格の、至極軽い症状なのではないかと思い始めた。うん、これでいい芝居が書けそうだ、と今の自分は思っているが、さて。


放射線なんかどうでもいいという俺がここにいるんだぞという虚勢を張ったりして、分裂しかかった精神を、このM.A.P.after5でどうにか繋ぎとめている。


《8月24日(水)-2》
大震災から167日目。

届いた。
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中味。
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一度は要らないかなと思ったガイガーカウンターですけど、買っちゃった。

充電中。
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まずは事務所の中を計測してみました。
2階の机の上の三線の蛇の皮の上です。
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0.04~0.06μSv/hをフラフラして、最終的には0.05μSv/hで落ち着きました。
(※因みに3.11以前の東京の空間線量の平均は0.036だったそうです。但し、それがどういう測り方をしていたのかは不明なので、単純に比較できません。)

●《8月25日追記》使用機種【DoseRAE2 PRM-1200】について
フォートダイオード及びシンチレータを使ったダブルセンサーの測定器
 (※GM管を使った「ガイガーカウンター」ではない。)
放射線量測定範囲: 0.01 μSv/h ~ 10 Sv/h
線量率の精度:
  ±20% (10μSv/h~10Sv/h)
  ±30% (0.01μSv/h~10μSv/h)
(※つまり1μSv/h表示はおよそ0.7μSv/h~1.3μSv/hってこと)
(※しかし製品毎の誤差%は変わらないので、増減や高低の比較は可能)
積算量測定範囲: 0μSv~10Sv
線量精度: ±15%
放射能反応範囲: 20keV~6MeV(X線とγ線)
(※α線やβ線には反応しない。つまりあの有名なプルトニウム(α線)や、最近問題とされてきたストロンチウム90(β線)はスルー。逆にそのことが空間線量を測定するには適しているといえる。
しかしやっぱり気になるのは、空気中に漂うα線・β線を発する放射性物質を吸い込んで内部被曝するんじゃないかということ。この機種を使用している方々は、みんな表面汚染箇所を発見するためのガイガーカウンターが欲しくなるらしい。小生も使用2日目にして、もう一台、ガイガーカウンターの購入を検討しようかなと思い始めた。)
※併せて下記記事もお読みください。
 ⇒http://lince.jp/hito/butubutu…

今後東京世田谷の喜多見周辺を色々と計ってみたいと思ってます。


●《11月9日に【この日呟いたこと】を追記》

11:25
これからは自分の考えを補完するような他人様の呟きをリツイートすることはやめます。でも、違った意見はリツイートするかもしれませんけど。

18:55
狛江市。最寄り駅は小田急線喜多見の事務所で空間線量を計りました。今後継続して喜多見周辺を歩いてみます。


※これで少しはアクセスが増えるかと思ったり、でも、効果は殆どありませんでした。要するに旬が過ぎているのと、なにより情報がシンプルじゃないということかな。でもこれが屈折したM.A.P.after5のやり方、いたし方なしです。ただ丁寧に丁寧に、そして誠実に……



《8月20日(土)》
あの大震災から163日目……

【この日呟いたこと……】

※「携帯使いません」と契約書にサインしないと入れないレストランがあるらしい。
15:18
ボク、すごく好きかも。

15:22
公演が決まったところの担当の方から「山猫合唱団ですか」という電話が来ると、少し悲しくなります。

※届くかな、僕の呟きが先様に……。

売る側と買う側、店主とお客さんの微妙な関係。一見(いちげん)なら気にしないことなのだが。
具体的に語ろうとすると、実にナイーブで難しい。

あさのさんのところと……
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コンケン・アイに行った。
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ナイーブで難しい記事は後日に回そう。


11月 7日月曜日: 老朽化……

《8月10日(水)》
大震災から153日目……

【この日呟いたこと……】
11:46
二週間の沖縄長旅の疲れが出たのか、風邪を引いたらしい。喉がひどく痛い。もしかすると、沖縄生まれの俺のカミサンは、二十数年間、ずっと旅をしているのかもしれない。



「ダメだ、今日は休ませて」
「串かんが閉店したよ」
「デジカメで撮って送ってよ」
 ⇒前回の関連記事(4月13日)

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お隣のお蕎麦屋さんはどうするんだろう。
「聞いてみてくんない?」
「ヤダ」
「まあ、そうだよな……」

沖縄語の勉強会も休むことにした。
第36回ゆんたくぬくゎい(喜多見で沖縄語を話す会)

「なんだか頑張れなくなってきた。老朽化かな……」
「何が?」
「しがみつきたくないってことさ」


《8月8日(月)~9日(火)》
コンケン・アイのマスターが、改造計画中の事務所まで、わざわざ業者さんを連れて見に来てくれました。
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これがアイちゃんのお父さんの本職なんです。
こちらに予算がないから、仕事はお願いできないかもしれないけれど、それなのに色々と相談に乗ってくださいました。ありがとうございました。これからもよろしくお願いします!
(宇夫方路)


自宅、書斎にて。8月9日になった。
【呟いた……】
0:01
只今午前0時。本日9日、代々木公園で開催されるアトミックカフェ。誘われたのだけれど行けません。だって、僕、新宿のライブハウスで三線弾くんだもん。


ふざけた呟きである。真面目に悩んだ素振りはしたくなかったということ。でも、大震災から152日目、なんともいえぬモヤモヤした気持ちを、残しておきたかったのだ。
「遊びじゃない。他にM.A.P.が生き延びる道はない」
「M.A.P.なんか止めちゃって、ずっと西の方に移り住むことだって出来ないわけじゃない」
東京から少し西に外れた微妙な地域、きっと到る所でこんな風に、毎夜毎夜生まれる小さな「思い」を、現実が押しつぶしていく。
(高山正樹)
次の記事へ


《10月13日(木)》
大震災から217日目……
もう事務所の中の数値はいちいちご報告するのはやめようと思っているのですが、ついつい気になります。
M.A.P.after5は、私的な記録という意味合いもあるので、小さく。
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[subcate.喜多見周辺の放射線量]
9:55の表。
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だんだん高くなっているような……
左の“RADEX_RD1706”の方は気にしないでください。相変わらず0.9くらいから1.8ぐらいの間で揺れています。たまたま撮影した時にこの数値を表示していたということですから。

もう、終わりだね。いやいや、日本が、じゃなくて、今年のゴーヤーのハナシです。
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でも、日本が終わらないとも言ってません。いろんなものが歪んで、そして終わっていく、どうやらそれは間違いなさそうです。

最近、自宅へ帰れる時間が増えてきました。今日も昼前に上がり。去年までは考えられなかった。これも歪んだことをひとつ終わりにしたからかなあ。

帰途の途中、僕は思わずアッと車の中で声が出てしまいました。
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こんなことして、大丈夫なのか?
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どこか私立の幼稚園の行事らしい。子供たちが、素手で、土まみれになって畑仕事をしている。
「土壌の線量、測ったのかなあ……」
笑顔で子供たちのカメラを向ける母親たちが無知なのか、それともやはり、僕の頭がおかしくなっているのでしょうか。

自宅に帰るとまずはとりあえず線量計を出して測ってみるのです。10月8日以来です。特に変わりはないのですが、やはりこのくらいの巾で数値がぶれます。
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問題は書斎です。
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β線はアルミで遮ることができるらしいので、ちょっとイタズラ。
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0.18→0.15、誤差の範囲かなあ。
まあそのうち気が向いたら、もう少しきちんと考えて実験してみましょ。

原発のことがなければ、今日なんかは何もない一日だったはずなのに。

なんだか歪んでる。


10月11日火曜日: 邪魔者はとっとと退散

《10月2日(日)》
大震災から206日目……
今日の線量。
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このところ、ずっと0.07μSv/hで変わらない。0.065μSvなのか0.074μSvなのか。

今日は事務所を琉装とメイクの講習会で使うということで、邪魔者はとっとと退散。
宇夫方女史が、そのうち琉球舞踊専用ブログで報告する予定らしいが……。
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蒔いた種から芽が生えて、やがて花咲く日がくるのかどうか。


《9月8日(木)》
大震災から182日目……
しばらく家のことでバタバタしていて、なかなか事務所に顔を出せなかった。
久しぶりの朝。今年のゴーヤー。
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どうやら一斉に実が成りだしたようだ。
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ちょっと前まで花の心配をしていたのに、あっという間に収穫が見えてきた。となればやっぱり気になることがある。このゴーヤーたち、はたして食べても大丈夫なのかどうか。ゴーヤーをしかるべき研究機関に送って調べて貰うなんてとてもできはやしない。ならば目を瞑って食うか捨てるか、一か八か、いやいや、それではM.A.P.after5らしくない。もう少し努力してみよう。

食品の暫定基準値である500Bq/kgの食品630gの発するセシウムの放射線を外部から調べると、およそ0.007μSv/hくらいらしい。じゃあ200gのゴーヤーに換算するとどうなるんだろう。ヨウ素はどうなんだ。それからバックグラウンドの自然線量をカットするだとか、β線だγ線だなんてことまで考慮しなければならないのだから、確かにとても素人の手に負えるものじゃない。しかし、このゴーヤー、食べていいのか悪いのか、全く心配ないのか、この歳なら気にしなくていいというような程度なのか、あるいは暫定基準値をだいぶ越えているのか、いやとても食べられないほど汚染されているのか、せめてそのくらいのことは分かりたいではないか。それ以上の正確な数値を知りたいと思っているわけではないのである。

武器はネットで買った小さな線量計“DoseRAE2”一個だけ。それを使って、できることがあるのかどうか。

今朝の東京新聞に、こんな記事が掲載された。
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国民生活センターが「安価な」放射線測定器の性能検査を行ったという記事である。
「いずれも正確な測定はできず、食品や飲料に含まれる放射線量も測定できなかった」という。消費者に「直ちに信用しないで」と呼びかけているという記事。「直ちに」とは笑える。
十把一絡げにされて落第点を貰ったのはこれらである。
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我が機種、DoseRAE2もある。(左下)
上から三番目。アメリカの商品らしいのだが、作ったのは中国。
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国民生活センターの総括は次のようである。
「大気中の放射線量の測定では高い値を示し数値もばらつきが目立った、セシウムに限定して測った場合は逆に低い値で、線量を上げるとばらつきが大きくなった」

国民生活センターとは別の市民団体のコメントも併せて紹介されている。
「いずれも数値が収まらず測定には使えない」
しかしよく読むと、こちらの方は国民生活センターが調査した全ての機種を調べたわけではないらしい。さらに記事の最後で「文部省などが発表しているデータを参考にしてほしい」という生活センターの人の言葉を紹介されては、自分で調べるのはやっぱり無理だってなことになりかねない。これじゃあ線量計を持っているだけで、白い目で見られそうである。

データの隠蔽、ホットスポット、空間線量には現れないミスターP、こんな現状では従順な国民でいられるわけがない。せめて身近な線量を調べないわけにはいかないのだ。

実は線量計の試験結果の詳細は、ネットにてPDFで公開されている。
 ⇒http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20110908_1.pdf
(※500Bq/kgが0.007μSv/hを示すということも、この中に書かれている)
No.3と番号を当てられたのが“DoseRAE2”である。
まずは「自然放射線の測定試験」の結果。
「総じて高い値を示し、No3、8、9以外はばらつきも大きく、測定値の信頼度に欠けていた」
そしてその試験結果の一覧である。
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「参考」とあるのは信頼の置ける高価な日本製の測定器(日立アロカ製TCS-171¥58万円)だそうである。さてNo.3だが、なかなか優秀ではないか。何度でも言う。学者ではない。そんな正確な数値を求めてはいない。

ゴーヤーを食べていいのかどうかで問題となるのは内部被曝。つまり調べるべきはβ線。しかし、我が武器はいくら優秀でもγ線しか測れないのだから、そもそも全くダメじゃないのか、と、思いきやそうでもないらしい。今や食物汚染の主役であるセシウム137は、β線とγ線の両方を出すと、あっちこっちに書かれている。ということは、少なくともセシウム137に限っては、γ線を計れば同じだけあるβ線も測ったことになるってことだ。
だが、ちょっとばかり放射線を勉強した者には、これはなんだかおかしい話に思われる。そもそもβ線であろうがγ線であろうが、放射線は放射性物質の原子が崩壊する時に一回だけ発するものだからだ。

この程度の疑問ならば、今は放射能の話題が旬なので、ネットで調べれば説明してくれる物理屋さんがいくらでも見つかる。要するにこうだ。セシウム137はβ崩壊して(β線を出しながら)バリウム137に変わって安定するのだが、その際94.4%がバリウム137mを経由する。このバリウム137mはγ崩壊してバリウム137に落ち着く。半減期は2.6分と極めて短い。つまり、セシウム137の殆どがβ線を出した後、数十分の間にγ線を出すということなのである。これが「セシウム137はβ線とγ線の両方を出す」という内容である。94.4%は気にしない。もう何度でもしつこく言う。正確な数値など求めてはいない。このゴーヤーは食べてもいいのかどうか、おおよその人間的な「感じ」が知りたいだけなのだ。

先の国民生活センターの実験結果に再び戻ろう。
二つ目の試験は「セシウム137由来のγ線測定試験」である。この「由来」という言葉が、一度バリウム137mに経由して出るγ線のことを考慮した表現というわけ。
さて、こちらの検査の方は、少し残念な結果になった。No.3は、正しいとされる参考品に較べてかなり低い値を示すというのである。特に低線量(0.115μSv/h)では1/3程度、また高線量(5.16μSv/h)でも半分以下であった。ただ1.05μSv/hという東京あたりに住んでいて一番悩ましい数値あたりでは、3割程度の誤差にとどまった。いずれにしても高線量でなければブレは少なく、この機種の特性を理解していればかなり使えるという印象である。

さて、事務所で育てたかわいいゴーヤー、これを汚染させる可能性のあるものは雨と土。雨で汚染されたのならば洗えばなんとかなる。残るは土だ。

精一杯の実験をしてみる。
今ま線量計を使ってみた結果、線量の大小の比較は十分できることが分かった。ブレがないことが大きいのだ。それは国民生活センターの試験でもある程度証明されたように思う。そこでこいつを使って、ゴーヤーのプランター近くの空間線量と、土のすぐ近くの線量とを較べてみることにした。

まずは空間線量を測る。
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0.07μSv/h……
8月25日と同じである。

次に線量計を土の上に直置きして測定してみる。
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念のため、ビニールの袋に入れる。もし土が汚染されていたら、放射性物質が線量計に付着が汚染されてしまう。そうなると、それ以降の測定と比較出来なくなる。それは困る。まあ、汚染されてしまうほどの線量が計測されたら、そのほうが余程困るわけだが。
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0.09μSv/h……
はあ……、この数値って、どうなんだろうか。0.02多い値。これをどう解釈すればいいのか。この差が土の汚染分なのかどうか。もし本当に500Bq/kgで0.007μSv/h上がるのだとしたら、この土は1500Bq/kgくらい汚染されてるってことになるわけか?さらにこの機種のセシウムに対する誤差を考えて3倍すれば4500Bq/kgだ。

政府は、米の作付けが可能な土壌に含まれるセシウム濃度の上限を土1キロ当たり5000ベクレルと定めているらしい。ということは4500Bq/kgの土ならギリギリセーフだ。ゴーヤーは食べても大丈夫なのか?
いや、政府の暫定基準を信じることができるなら、はなっからこんな放射線にこだわってはいない。
例の足柄の茶畑だが、首都大学東京の准教授が5月のテレビで、空間線量が0.08μSv/hで土壌は1.4μSv/hであったとコメントしていたという情報をネットで見つけた。その1.4μSv/hという値は、セシウムだけを調べたものなのかどうか、一次資料を見つけようと努力したが、ダメであった。
さすがにもし1.4μSv/hの値が出ればゴーヤーは諦めて処分する。半分の0.7μSv/hだって同じだ。

そもそも、ここで栽培しているゴーヤーが食べられるのか否か、簡単な実験で判断できるはずなどないだろうとはじめから予測してはいた。それにしてもである。空間線量が0.1μSvに満たないような場所で個人が育てた野菜、それを食べても大丈夫なのかどうか、それさえ判断できないような日本になってしまったことに、あらためて驚いているのだ。

だいぶ記事が長くなった。ここで一度小休止。

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高山正樹 Masaki Takayama
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