三笑亭夢丸with東京奏楽舎の深川江戸資料館公演“かがみ”が無事終了しました。

プログラム

【第一部】
古典落語“辰巳の辻占”
三笑亭 夢丸

元禄花見踊りと変奏曲についての前説
モーツァルトの“きらきら星変奏曲”
菅野 恵子(ピアノ)
高山 正樹(いかがわしい大学教授風の男)

元禄花見踊りの主題による7つの変奏曲
菅野 恵子(ピアノ)
桃原 健一(オーボエ)
大島 純(チェロ)
名田 綾子(作曲)

《休憩》

【第二部】
コンサート“組曲 かがみ”
落語とクラシックのコラボレーション“かがみ”

三笑亭 夢丸
菅野 恵子(ピアノ)
桃原 健一(オーボエ)
大島 純(チェロ)
名田 綾子(作曲)

スタッフ
音響:渡邉 禎史
舞台監督:楠 定憲
制作:㈱M.A.P.
プロデュース:高山 正樹
協力
日本音楽家ユニオン
(社)落語芸術協会
公益財団法人江東区文化コミュニティ財団江東区深川江戸資料館



~作曲にあたって~  名田 綾子

「元禄花見踊りの主題による7つの変奏曲」
今回、落語と音楽のコラボレーションに参加させていただくことになり人生で初めて落語の世界に触れることができました。演芸場で生の落語を見て、クラシック音楽の演奏会とは一味違う自由で明るい雰囲気、会場が一体となってワッと笑う時の何とも言えない楽しさ、そして何より噺家さんたちのプロフェッショナルな話芸・・・。その時その瞬間の面白さと、同時にものすごい緊張感!すっかり魅了されてしまいました。
落語には「出囃子」があるということも知りました。噺家さんのいわば専用のイメージソング。夢丸師匠の出囃子は「元禄花見踊り」の一節。普段寄席では三味線や太鼓などの和楽器で演奏され、とっても素敵な雰囲気があります。
この元禄花見踊りのメロディーを元にして、クラシックの音楽形式のひとつである「変奏曲」なんて作ってみたら面白いんじゃない?という、かるーい冗談から始まり、いつの間にか本当にやる運びになり・・・(笑)、さてさてどうしよう!?思いっきり「和」のテイストの曲を、クラシックの「洋」の楽器と形式で・・・・。でも、これも落語の世界とクラシック音楽の世界のコラボレーション。しかも絶対に他にはないはず!どうせやるなら元禄花見踊りのメロディーが日本から世界へ飛び出すような面白い曲にできないかな?そうして完成した変奏曲。
花見踊りのメロディーが、リズムを変え、調を変え、拍子を変え、テンポを変え、えっ!そんなとこまで行っちゃうの!?というところまで自由気ままに旅をしていきます。突拍子もないところまで行ってしまっても、なぜか聴こえてくるメロディーは花見踊り。でもなんか違う!?・・・皆さまにも一緒に変奏の旅を楽しんでいただけたら嬉しいです。

落語×音楽コラボレーション「かがみ」
寄席で夢丸師匠の「かがみ」というお噺を聞かせていただき、ぜひこの題材で曲を書きたい!と思いました。痛快でありながらほろりとさせられ、時代は違いますが主人公が嫁入り前の女の子、ということでなんとなく親近感が湧き(笑)、世界に入り込んでしまいました。
コラボレーションするにあたり「落語」と「音楽」をどのように両立するかメンバーで話し合う中で、お噺の前に「かがみ」の世界を音楽だけで表現する組曲をやったらどうか?というひらめきが生まれました。まずは物語の中に出てくる登場人物それぞれのテーマ曲を聴いていただいてお客様に自由なイメージ作りをしていただき、そのあと音楽と共に落語を聴いていただいてイメージが完結する、という新しい試みです。お美代、おとっつぁん、辰っつぁん、新吉、おっかさん、そして「この世で見たこともないきれいな化け物」とは一体・・・?さあ、「かがみ」の世界へようこそ!

【高山正樹による報告】

深川江戸資料館のホールは2階にあります。そのロビーから、ガラス越しに展示室の江戸の町並みが見下ろせます。
ガラス越しに見る展示室
土曜日なのに、資料館に来るお客さんは疎ら。

今年のテーマは“鏡”です。去年の“夢”ほどには表立ったテーマではありません。もしかすると、僕だけの隠しテーマかな。異質な他者という鏡に自らの姿を写してみると、いったいどんな姿が見えるくるのだろう。去年の夢が形になる瞬間、立ち現れるのは美しい女性なのか、はたまた手に負えない化け物なのか。

舞台では、すでに幕が上がり、夢丸師匠の「辰巳の辻占」が始まっています。
僕は楽屋前の通路で、僕自身を鏡に写して撮影してみました。
楽屋前の通路
遠くて、なーんにもわかんねえや。

去年は場末のいかがわしいキャバレーの支配人風を装ったのですが、今日は新設音楽大学のいかがわしい准教授でいこうと、さっき決めました。
新設音楽大学のいかがわしい准教授風の高山正樹
鏡の向こうとこちらで分裂しています。出演者とプロデューサー。もうひとつ会社の代表という厄介な立場もあるのだけれど、それは今日一日忘れることにしました。

第一部が終わって。
おなじみの楠定憲氏と調律師の新井吉一氏です。
楠定憲氏と新井吉一氏

縁の下で支えてくれたお二人です。今年も楠さんには舞台監督を頼みました。感謝。

【新井さんの証言】
「いい企画だね。とてもおもしろい。」
「辛口の新井さんにそう言ってもらえるのはうれしいですなあ」
「落語が」
「またそれだよ」
「いやいや、音楽がすばらしい」

いよいよ第二部。
大島純と楠定憲
夢は少しでも形になったのだろうか。やればやるほど、困難な挑戦をしているのだと不安になります。
本番中
本番については、僕の口から語ることは控えましょう。言ってはいけない立場のような気もするし。

そして終演後。
まずは奏楽舎の面々での記念撮影。
大島純と菅野恵子と名田綾子と桃原健一
左から大島純、菅野恵子、名田綾子、桃原健一。
去年の顔と見比べてみようと思ったのですが、去年は集合しての記念撮影はしなかったらしい。ともかく、笑顔で良かった。

続いて、夢丸師匠を交えて、スタッフも一緒に集合写真。
東京奏楽舎の集合写真
撮影してくださったのはお弟子さんの朝夢さんです。
三笑亭朝夢さん

新井吉一さん

あらためてピアノの調律の新井さん。
調律は大変だったようです。音程が下がっていたらしい。資料館の担当者はそのこと知っていらっしゃるのでしょうか。

渡邉禎史さんと大島純くん
それから、今回は音響を渡邉禎史さんにお願いしました。

特に効果音があるわけではありません。夢丸師匠の声を拾っていただくという目立たないお仕事。でも、我々の出し物にとってはとても重要な役割です。それを見事にを担ってくださいました。まさに縁の下の力持ちです。ありがとうございました。
ちなみに、渡邉さんは奏楽舎初代作曲者の内田くんの先輩でした。どっきりびっくり大島くん。


【大田区文化の森ホール松坂さんの証言】
松坂さんと宮本一路氏
「文化会館の時は、少し落語が聞きにくいという感じもあったのですが、これなら誰もが喜んでくれます」
確かに。でも上野の東京文化会館の音響は会館のスタッフの方にやっていただいたのですが、基本的に上野は音楽専用のホールの老舗、言葉を聞かせることについては考慮されていないのです。それでなかなか難しかった。

僕の友人からメールが届きました。
【Yusuke氏の証言】
「ジャンプしたね。去年のはどうも音楽と落語が邪魔し合ってる感じだったんだが、今年のはすごく良くなったな。登場人物のテーマ曲ってアイディアで音楽と落語が繋がったし、お前の解説と夢丸さんの曲紹介もうまく連動したね。チェロのハイトーンとオーボエがハモるとあんなになるんだということにも感心したし、そんなことはどうでも良いほど名田さんの曲がすごく良かった。
映画音楽やらせたら面白いことになる気がする。彼女には面白い映画監督を取っ捕まえてティム・バートンとダニー・エルフマンみたいな黄金コンビをつくってもらいたいね。名田音楽なくして××の映画は成立せずみたいなさ」

アンケートもたくさん書いていただきました。今年は高山正樹の司会を褒めてくださるものは一通もありませんでした。役者高山正樹がどう思っているかは分かりませんが、プロデューサー高山正樹は喜んでいます。この企画において、司会がよかったなどという批評は決して喜ばしいものではないのですから。司会があくまで縁の下の力持ちになれたのだとしたら、大正解です。

またアンケートをくださらなかった方の声なき声を想像することも必要なことです。
やはり、まだ落語が聞きにくいというご意見が全くなかったというわけではありません。言葉が聞きにくかったか、あるいは特にそうは感じなかったか、落語を聞きたい方と音楽を聴きたい方で大きく意見の分かれるところです。また、落語目当てのお客様にはお年寄りが多い。特に男性のお年寄りは、低音の男性の声が聞き取りにくいといいます。全ての方に100%満足いただけるものは不可能でしょうが、ちょっとした気配りでまだまだ変わるかもしれない、そのことも忘れてはいけないと考えています。

もうひとつ、資料館でチケットを買われた方から、窓口の対応について痛烈な批判のアンケートがあったということも、申し添えておきたいと思います。資料館の方々が、これをお読みくださることを願って止みません。

最後に……
【資料館前のおみやげやさんのたかはしさんの証言】
たかはしさんアップ
「今回は近所の人たちもけっこう来てたね。前も来たし、この公演にはいつも来るって言ってた人もいたよ。うちじゃああんまり協力できなかったけど、ごめんなあ。続けなきゃねえ。そのうち追っかけができるんだよ。そのうち火が付くことがあるんだよ。頑張ってよ」
「でもさあ、資料館がねえ」
「そうだろう、お役所はダメさ。でも、やっぱり続けなきゃあ」
「おじさんありがとう」
「また、来年なあ」

今日は土曜日。それなのに資料館通りの人通りはとっても少なかったらしい。そういう現実を、資料館の人たちは分かってるのかなあ。落語とクラシックのコラボにあわせた企画を考える、そういう発想はないのだろうか。この町を活性化するために。それがまた資料館に人を呼ぶことにもなるのに……

官僚とは、やらない理由を生み出す天才だと、テレビで言ってました。これって、官僚や役人に限ったことではないのですが。

打ち上げを終えて。
東京奏楽舎、打ち上げ終了後のスナップ写真
(劇団あとむの大女優が撮影してくれました!)
菅野さんはお子さんの元へ。それでもかなり遅くまでお付き合いくださいました。大島君も明日は広島だというのに最後まで。また、集まりましょう。なんとしても。やらない理由はありません。

最後に、ご来場くださった皆様に、心から感謝申し上げます。ありがとうございました。
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