比嘉光龍さんにお会いした時に頂いたプリントと同じものが、ネットにアップされました。
「日本語」と、「うちなぁぐち」と、「うちなぁやまとぅぐち」を比較した表です。
これは、光龍さん自身によるものです。
http://blog.goo.ne.jp…

実は先ほど、光龍さんにふたつほどの質問のメールを送っていたのです。それに対して、さっそく丁寧なお返事が届きました。
まず質問その1です。
日本語=「おじいさん」
うちなぁぐち=「たんめー(士族)」「うすめー(平民)」
うちなぁやまとぅぐち=「おじぃ」

比嘉光龍さんは、「うちなぁやまとぅぐち」について、言語学では「ミクストランゲージ(Mixed Language)」に分類され、「スラング(俗語)」と同じような言葉と定義されているとし、次のように書いていらっしゃいます。
「それをもう少しくだけて言うと『タメぐち』のようなものだと思って下さい。仲間うちで使う、仲間だけしか知らない言葉のようなものです。それは、目上の人や学校の先生などには使えない」

確かに、沖縄の地方紙のコラムなどで、お年寄りを「オジイ」や「オバア」と呼ぶ最近の風潮は失礼でけしからんというなご意見を目にしたこともあります。(僕としては、敬意と愛情を持って使われれば「スラング」も悪くはないと思っていたのですが。)
では、沖縄のお年寄りを、ウチナーグチで呼ぼうとしたとき、どのように呼べばよいのでしょうか。
目の前にいるお年寄りが元「士族」か「平民」かなどわかりません。元士族の方に「うすめー」と言ってしまったら、気を悪くされるかもしれないし、かといって誰でも彼でも「たんめー」では、男性のお客さんだれかれ構わず「社長さん」と呼ぶ安キャバレーのホステスさんみたいで、これも気が進みません。というか、どちらにしても、そうした区別のある呼び方を使うことはどうなのだろう。言葉狩りはしたくはないが、なんだか難しい。沖縄語を話す会の國吉眞正さんは、もう今は、みんな「たんめー」でいいのではないですかとおっしゃっていました。
そこで、光龍さんのご意見も、聞いてみたくなったのです。

1「おじいさんのことをどう呼べばいいのでしょうか。今はどのご老人に対しても『たんめー』でいいのでしょうか。」

それに対する光龍さんのお答えは、次のようなものでした。

これは、そうは呼べませんと答えておきます。一つに統一した呼称が必要だとの考え方から、少し視点を変えて考えてみて頂きたいのですが、明治12年までは琉球王国で身分制度が存在したので、二つ、もしくは三つの「おじいさん」の呼称が存在しました。しかし、現在のうちなぁは、複雑かつ日本と言う国の一部です。そこに琉球王国時代の身分制度の呼称をあてはめようとするとかなり無理が生じます。そこで、相手にどう呼んでほしいのか問うということが面倒でも必要だと思います。個人はそれで対応できるのでしょうが、お年寄りの総称ですが、うちなぁぐちでは「御年寄い(うとぅすい)」、もしくは「思しーじゃ方(うみしーじゃかた)」と呼べばとても丁寧ですので、お年寄りよりは良いと思います。

なかなか難しいですねえ。みなさんはどうお考えでしょうか。
僕はチョイ悪おやじ。元不良なので、スラング万歳「オジイ」で、いっちゃおうかなあ。今度、儀間進先生にお会いした時に「オジイ」って、最大限の親しみを込めて呼んで見ようかな。そうしたらどうなるのでしょうか。

質問その2は長母音について。
光龍さんの作った表では、唯一「うちなぁ」だけ二重母音の二番目に小さな平仮名を使って、後は全て「ー」の文字を使っています。それは何故なんだろう。そういえば、ウチナーグチには二重母音は無いのだろうかということを考えながら、質問してみようと思ったのです。

2「うちなぁ」と「うちなー」、さらには「うちなぁー」もありそうですが、これには何かルールのようなものがあるのでしょうか。

光龍さんの回答。

これは、確かに問題ですね。私は「うちなぁ」と表記します。しかし、語尾の小さな「ぁ」ですが、これは棒線でも良いと思います。私は、うちなぁぐちを表記する時に、カタカナは何かうまく表現できていない気がしてひらがな表記にすることにしました。それらは、実践うちなあぐち教本の著者比嘉清さんや、ラジオ沖縄の伊狩典子さん、また、私のうちなぁぐち師匠である、うちなぁ芝居の名優「真喜志康忠(まきしこうちゅう)」先生の芝居を漫画化した新里堅進さんの本(琉球新報出版から三冊出ています)などを参考にする所が大きいです。

ただ、語尾の母音を棒線にするか、それとも、母音を文字化するかどうかは、私自身試行錯誤、変更に変更を繰り返して、母音はすべて棒線で書くことにしました。それならば「うちなぁ」は「うちなー」と表記しなければなりません。ただ、「うちなぁ」と言う表記だけは「ぁ」にしています。それは、沖縄タイムス紙に二年近く「光龍ぬピリンパランうちなぁぐち」と題して連載をしたのと、琉球新報紙にも「光龍ぬアハーうちなぁぐち」、また現在、おきなわJOHOという月刊情報誌に「光龍ぬうちなぁぐちアリンクリン」と書いてきたので、慣例でというところが大きいです。

(中略)

表記は高山さん御自身でお考え下さい。では、また、いつでもご質問下さい。御無礼さびら。
比嘉光龍(ふぃじゃ ばいろん)


この中略の部分には、表記について、もっと突っ込んだことが書かれてありました。光龍さんの主張は、基本的には柔軟にということなのですが、これについては当方勉強不足、もう少しそのあたりの現状を把握してからあらためてご紹介いたします。

このメールを公開することをお許しくださった比嘉光龍さんに、心から謝辞を申し上げます。