09/01/10 : 《1984年6月20日のノート》
カテゴリ: 《過去のノート》
太宰治「フォスフォレッセンス」より。
現実家が着飾った娘を凝視して言う。
「まあ綺麗。お前、そのまま王子様のところへでもお嫁に行けるよ。」
夢想家が焦点の合わぬ視線を遠くの雲に向けながら答える。
「あら、母さん、それは夢よ」
これだけで十分だったのに、太宰は注釈を入れた。
「夢は、れいのフロイド先生のお説にしたがえば、この現実世界からすべて暗示を受けているものなのだそうであるが、しかしそれは、母と娘は同じものだという暴論のようにも私には思われる。」
フォスフォレッセンスという架空の花の名の意味を探っても無駄である。それは太宰の罠である。ましてや「フロイド」に到っては……。
「フロイド」は架空でないから性質が悪い。
現実家が着飾った娘を凝視して言う。
「まあ綺麗。お前、そのまま王子様のところへでもお嫁に行けるよ。」
夢想家が焦点の合わぬ視線を遠くの雲に向けながら答える。
「あら、母さん、それは夢よ」
これだけで十分だったのに、太宰は注釈を入れた。
「夢は、れいのフロイド先生のお説にしたがえば、この現実世界からすべて暗示を受けているものなのだそうであるが、しかしそれは、母と娘は同じものだという暴論のようにも私には思われる。」
フォスフォレッセンスという架空の花の名の意味を探っても無駄である。それは太宰の罠である。ましてや「フロイド」に到っては……。
「フロイド」は架空でないから性質が悪い。