ボクの心の中に、ポッカリとした空洞があって、そこからときどき、アーとかウーとか、すきま風が吹いてくるんだ。
〈、アー、ウー、貧困なイメージだね、アー、ウー、〉
その空洞のまん中にすわりこんで、ギターをひいてみようかな。きっとエコーがかかってステキだよ。
〈成長してないんだね、おじさん。きもちわるいよ、アー、ウー、〉
おじさん、飲みすぎちゃってさ、からだじゅうの筋肉がぜんぶゆるんじゃってて、ぜい肉がやけにブヨブヨしてて、暑くて、だからクーラーがんがんにかけてね、頭、ボーッとしちゃってさ、そのまま昼寝しちゃうんだ。もう、どうでもいいや、なんて言っちゃってさ。
〈、アー、ウー、アー、ウー、……

 僕は複素数の世界に居て虚数計算を始めた
  「多数の象形文字が複雑な記号で繋がれている
   一体この内のどれとどれが実数なのか」
 難解な多次方程式は永久に解けそうになかった
 ……、アー、ウー、〉

昼寝なんかするんじゃなかった。遠くに救急車のサイレンが聞こえる。読書でも、と古い本を開いてみたが、もっと軽いのはないものか。下で電話のベルが鳴る。あの音は暴力だ。僕のノートに実名が書かれていない事に就いてA君は不満なのだろうかとB君は考えた。こうして書いている間だけ、何かこう、……何だろう。さて、困った。ただ書き続けていたい。ダラダラと。越えれば先は妹背山。「浮雲」のようにふわふわと、竪板の、水の流れを堰かねて。あいつが辞めた。あいつにくれてやるつもりだった布団、無駄になった。人と人とのつながり(喉が乾いた)金の切れ目が縁の切れ目、という訳でもないのだろうが、最初から何も無かったと思ってみれば、今年もまたいつものように伊豆に行って、軽井沢に行って、それもあまり苦痛でないような気がする。支離滅裂。ヘラヘラと馬鹿言って、耳を掻いたら痰が出た。嘘じゃない。本当の話。書き続けていたい。ダラダラと。あーうー。

ともかく悩まないで欲しいのです。まさかそんなことはないと思うけれど、たとえば君が雪の白さについて思い悩んでいるとしたら、それは未来のほんとうのモラルにとって、きっと良くないことなのです。
ソレナラバ何故ソンナ顔シテルノデスカ
つまり、それはもっともっと深い所の苦しさのせいなのです。もしもその場所に誰かと一緒に立てたなら、きっとこんな僕だって、回復できるかもしれないと思うのです。

あー、うー。あー、うー。