09/03/09 : 《1984年7月9日のノート》
カテゴリ: 《過去のノート》
「NとZとは温順しい、心の濃やかな親友同志だったが、連れだって人中へ出ると、すぐもうお互いに毒口を利きはじめる。……きまりが悪いのである。」
違うだろう。きまり悪いから毒口を利くのではない。実は、それが彼らの本音なのだ。二人きりではしゃべれないことを、人中で放り出すよう吐き出す微妙な綾もあるのだ。チェーホフは何もわかっちゃいない。
そう思ったら、チェーホフの達観したような減らず口に、いちいち腹がたってきた。
「イヴァンは恋愛哲学を並べることはできたが、恋愛はできなかった。」
「彼女は明らかに夫を愛していたのではなくて、もっと高尚で立派な、存在しない誰かしら他の人を愛していて、この愛を夫に注いだのである。」
チェーホフは、いったいどこからネタを拾ってきているのだろうか。
「愛。それは、昔は大きかった何かの器官が退化した遺物か、それとも将来何か大きな器官に発達すべきものの細胞か、そのどっちかである。現在のところそれは、満足な働きをせず、ひどく期待はずれな結果をしか与えない」
なるほど、ならばチェーホフの辿った道に、その結果でも探してみるか。
「男が独身を守ったり女が老嬢で通したりするのは、互いに相手に何の興味も起こさないからだ。肉体的な興味すら。」
……それを反省たのだろうか、チェーホフは「四十五歳の女と関係して、やがて怪談を書きだした」とか。
「女への恋が冷める。恋から開放された感情。やすらかな気分。のびのびと安らかな想念。」しかし「男と交際のない女はだんだん色褪せる。女と交際のない男はだんだん馬鹿になる。」
そのかわり「人間は愚かであればあるほど、その言うことが馬にわかる」らしい。その結果、チェーホフの言うことは馬にもわかるようになった……?
すべて『チェーホフの手帖』…
違うだろう。きまり悪いから毒口を利くのではない。実は、それが彼らの本音なのだ。二人きりではしゃべれないことを、人中で放り出すよう吐き出す微妙な綾もあるのだ。チェーホフは何もわかっちゃいない。
そう思ったら、チェーホフの達観したような減らず口に、いちいち腹がたってきた。
「イヴァンは恋愛哲学を並べることはできたが、恋愛はできなかった。」
「彼女は明らかに夫を愛していたのではなくて、もっと高尚で立派な、存在しない誰かしら他の人を愛していて、この愛を夫に注いだのである。」
チェーホフは、いったいどこからネタを拾ってきているのだろうか。
「愛。それは、昔は大きかった何かの器官が退化した遺物か、それとも将来何か大きな器官に発達すべきものの細胞か、そのどっちかである。現在のところそれは、満足な働きをせず、ひどく期待はずれな結果をしか与えない」
なるほど、ならばチェーホフの辿った道に、その結果でも探してみるか。
「男が独身を守ったり女が老嬢で通したりするのは、互いに相手に何の興味も起こさないからだ。肉体的な興味すら。」
……それを反省たのだろうか、チェーホフは「四十五歳の女と関係して、やがて怪談を書きだした」とか。
「女への恋が冷める。恋から開放された感情。やすらかな気分。のびのびと安らかな想念。」しかし「男と交際のない女はだんだん色褪せる。女と交際のない男はだんだん馬鹿になる。」
そのかわり「人間は愚かであればあるほど、その言うことが馬にわかる」らしい。その結果、チェーホフの言うことは馬にもわかるようになった……?
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