「ダルマサンコロンダ」……

十(とお)数えてふり返ると、今の今までそこにいたはずのダルマサンの姿が見当たらない。探せばダルマは坂の下。ローリングストーン、光陰矢の如し、そんな言葉のスピード感とは裏腹の不動の達磨、ならば落ち行く達磨は似非達磨。急坂を手も足も出さずに転がる達磨人形の姿は、重心が尻に寄っているから尚更、飛ぶ矢とは比ぶべくもなくみっともない有様に違いない。

はたしてこの僕こそがその惨めなダルマサンであったのか、などとは言いたくないけれど、少なくとも去年の8月に役者でなくなってしまってから、転がっていく状況を止める努力もせずに、アッという間に9ヵ月が経ってしまったことに間違いはない。なんで今頃こんなこと言い出したのかといえば、思い出したから。何を思い出したのかといえば、ちょいと昔まで自分はダルマでなくて役者だったということ。何で思い出したのかといえば、9ヵ月ぶりに役者としての仕事の予定が入ったから。

「ダールマサン、ダールマサン、にーらめっこしーましょ、笑うと負けよ、あっぷっぷっ……」
つい笑ってしまう情けなさ。
笑ったほうが負けとは、なんともおかしな遊びだこと。