09/01/30 : 三太郎の偽者が現れた
カテゴリ: 三太郎
「最初から順番に読んでもさっぱりわからないんですが。」
と突然現れたその青年は、《苦笑》と書かれた札を首からぶら下げている。
「パーツで見ると色と形がバラバラなモザイク模様も、少し離れて全体を眺めてみると、何らかの像を結ぶという事なんでしょうか。でも、まだまだ壮大なパズルのピースは足りないようですね《苦笑》」
ふふん、“さっぱりわからない”ねえ、でも、それが正しい読み方なのさ。
しかし君は勘違いしている。偉大な理解者は、作者を裏切りながら、散らばったピースを自ら組み立てるものなのだ。
「ところでさ、君は誰なの」
「三太郎です」
もし本当の三太郎なら、俺の掌に足跡を残しているはずだ。だが、こいつの身の丈はデカ過ぎる。
訝しがる俺の気持ちを察したのか、
「まともな世界の住人です」
なんとも中途半端な難解さ。
「私のような、いわゆるインフルエンサーが寄ってくる事もあるのではないかということです」
またまたちょこっと訳のわからないことを言う。インフルエンザならおととい来い。タミフルは効くのか。
「効果のほどは怪しいですが」
もし君が、三太郎の名を騙る偽者ならと、目を瞑って海を見た。
南の島の小高い丘の、こんもり繁った森の中の、一番立派な木の上に小屋を建て、海の見張り番として雇ってみるのも面白い。きっと毎年その島には、赤道直下の懐かしい国、あのポストリアから、見たことのない土産をいっぱい積んで、真っ赤な船がピチピチチャプチャプやってくるのだ……
俺は妄想をどんどんと膨らませ、しばし目の前の君を忘れてみた。《笑》
《苦笑》…
「笑っちゃいかん」
どんなに奇想天外に見えることも、思い続けていると、結構実現するらしいということが、最近だんだんわかってきたのだ。
とは言うものの、やりたいことの全てをやり遂げるには、どうやら残された俺の人生は、十分な長さにはだいぶん足りないということを、君はわざわざ伝えに来てくれたらしい。俺が三太郎くらい若ければ、昼は黴臭い古書に読み耽り、夜は夜で、希望という広大な世界の不可能性について、過ぎる時を忘れて友と語りあっていたいのだが、もはやそんな贅沢は許されず、とっとと分かりやすさという武器を獲得しないと、誰からも相手にされなくなるということらしい。
友達などいらないと強がってはいるが、本音はさ、朝まで酒を酌み交わす新しい相手が欲しいのだ。旧友は、様々な理由で、一人ひとり去っていくものだから。
本日のネタは、三太郎という妖精の住むミクロの世界で綴った日記から拾ってきたので、並べた日付はむちゃくちゃな時系列。
でも、難解な言葉のほうが後世まで生き残るのは何故なのだろう。
「なるほど、それは考えてみる価値がありますね。」
騙されてはいけない。なんだか今日は、俺が三太郎のようだ。
妄想は、意図に反し、「難解」という世界に向けて加速していく……
と突然現れたその青年は、《苦笑》と書かれた札を首からぶら下げている。
「パーツで見ると色と形がバラバラなモザイク模様も、少し離れて全体を眺めてみると、何らかの像を結ぶという事なんでしょうか。でも、まだまだ壮大なパズルのピースは足りないようですね《苦笑》」
ふふん、“さっぱりわからない”ねえ、でも、それが正しい読み方なのさ。
しかし君は勘違いしている。偉大な理解者は、作者を裏切りながら、散らばったピースを自ら組み立てるものなのだ。
「ところでさ、君は誰なの」
「三太郎です」
もし本当の三太郎なら、俺の掌に足跡を残しているはずだ。だが、こいつの身の丈はデカ過ぎる。
訝しがる俺の気持ちを察したのか、
「まともな世界の住人です」
なんとも中途半端な難解さ。
「私のような、いわゆるインフルエンサーが寄ってくる事もあるのではないかということです」
またまたちょこっと訳のわからないことを言う。インフルエンザならおととい来い。タミフルは効くのか。
「効果のほどは怪しいですが」
もし君が、三太郎の名を騙る偽者ならと、目を瞑って海を見た。
南の島の小高い丘の、こんもり繁った森の中の、一番立派な木の上に小屋を建て、海の見張り番として雇ってみるのも面白い。きっと毎年その島には、赤道直下の懐かしい国、あのポストリアから、見たことのない土産をいっぱい積んで、真っ赤な船がピチピチチャプチャプやってくるのだ……
俺は妄想をどんどんと膨らませ、しばし目の前の君を忘れてみた。《笑》
《苦笑》…
「笑っちゃいかん」
どんなに奇想天外に見えることも、思い続けていると、結構実現するらしいということが、最近だんだんわかってきたのだ。
とは言うものの、やりたいことの全てをやり遂げるには、どうやら残された俺の人生は、十分な長さにはだいぶん足りないということを、君はわざわざ伝えに来てくれたらしい。俺が三太郎くらい若ければ、昼は黴臭い古書に読み耽り、夜は夜で、希望という広大な世界の不可能性について、過ぎる時を忘れて友と語りあっていたいのだが、もはやそんな贅沢は許されず、とっとと分かりやすさという武器を獲得しないと、誰からも相手にされなくなるということらしい。
友達などいらないと強がってはいるが、本音はさ、朝まで酒を酌み交わす新しい相手が欲しいのだ。旧友は、様々な理由で、一人ひとり去っていくものだから。
本日のネタは、三太郎という妖精の住むミクロの世界で綴った日記から拾ってきたので、並べた日付はむちゃくちゃな時系列。
でも、難解な言葉のほうが後世まで生き残るのは何故なのだろう。
「なるほど、それは考えてみる価値がありますね。」
騙されてはいけない。なんだか今日は、俺が三太郎のようだ。
妄想は、意図に反し、「難解」という世界に向けて加速していく……