お前は、それでも、社長としてやるべきことの全てができない。
月末だというのに、歌なんか歌っているから、金の計算ができない。
お前の平均睡眠時間は3時間半なのにそれでも。
ひらがなのじっけんなんかやっているから、憎たらしい。
お前は好きなことやっているらしいと、好きなことやっている者が、聞こえぬように呟く。そっちから見ると、どんなふうに見えるのだい。アホらしいはなしだね、そう思えれば、救いもあるのだが。
金なんか、ないほうがいい。
誰もが、他人のような素振りして通り過ぎてゆく。いったい誰のために、どんな思いで仕事を工面してきたか、みんな知らんぷりして、やはり他人のような素振りで通り過ぎてゆく。
おきなわが救ってくれるかもしれないと、必死に楽しんでみる。どうやらお前は好きなことやっているらしいと、好きなことやってもいない自分勝手な者たちが、ちょうどお前に聞こえるか聞こえないかくらいの呟きで呟く。
金は、だからあるほうがいい。
断じて言うが、誰よりもお前は考えている。誰よりも命をすり減らして考えている。
もしかして、君は本当に地図が好きなのかい? そうかそれならなんとかしてみよう。騙されていることがわかっているのに、お前はやっぱり誰よりも地図を思い浮かべて、君の地図の明日について思いをめぐらしている。例えば、誰もやってこない一人っきりの日曜日の事務所の中で、鳴るはずのない電話を見つめているのだ。鳴らぬ電話は通じないと思い込んでいるのはいったい誰なのだろう。
潔く諦めてしまえば簡単な話。
金は、だからあるほうがいいが、それは君に限ったことではないというわかりきったことを、わからないわからずやがいるので、きっと金なんか、ないほうがいい。欺瞞の笑顔は、暴かれた時、惨たらしいから、断固として金なんか、ないほうがいい。
何度でも断じて言う、誰よりもお前は誰かの金のことを考えている。くれぐれも言っておくが、他人の人生を抱えられるわけないのだが、お前は何人かは抱えられるのかもしれないなんて勘違いしている。
それがうっとおしいというのなら、黙って消えてみるのがいい。君か、お前が。
それにしても、君は男の子なのだから、君のことを心配するなど失礼なことなのだから、どうぞ黙って消えてみるがいい。
とにもかくにも至極当たり前の話だが、男の子ならみっともないことはやめた方がいいということだ。お前か、君か。
たったひとりの片腕が見つかれば、お前はきっと、いつでも黙って消えることができるのにと、お前はいつも愛されたがっている。