08/08/15 : 棘
カテゴリ: 書斎で書くこと
棘を刺さぬ優しさが正しい訳ではない。
僧侶を嫌う者はいないが、はたして僧侶はそれで幸福なのか。
僧侶を慕って集まる衆生は、一体何者なのか。僧侶は、その浅ましい正体に眼を瞑る。
脇腹に刺さった棘を、そこから流れ出る青き血の色を、よくよく眺めて見るがいい。
お願いです。抜いた棘の傷跡が疼くのです。
そしてようやく、棘を抜いた跡の数だけが幸福を量る目安であることに気づくのだが、失った重さが帰ってくることはない。
ある時、行水する僧侶の背を流した。その背には、夥しい棘が、抜かれぬままに朽ちていた。
衆生は、その背に縋りつき、いつまでも激しく嗚咽し打ち震えていたのだ。
嗚呼、あなたのその静けさは、もの見ぬ意思の表れではなく、ましてや幸福の安らぎなどであるはずもなく、ただただ生きることの苦しみを耐えていたのですねと、このことを、わたくしはどなたにお伝えすればよいのですかと、もはや屍となった僧侶の背に、いつまでも縋りつき、激しく嗚咽し打ち震え続けていたのだ。
あなたさまがお赦しになったものは……
明日、懐かしい人に会うのです。
僧侶を嫌う者はいないが、はたして僧侶はそれで幸福なのか。
僧侶を慕って集まる衆生は、一体何者なのか。僧侶は、その浅ましい正体に眼を瞑る。
脇腹に刺さった棘を、そこから流れ出る青き血の色を、よくよく眺めて見るがいい。
お願いです。抜いた棘の傷跡が疼くのです。
そしてようやく、棘を抜いた跡の数だけが幸福を量る目安であることに気づくのだが、失った重さが帰ってくることはない。
ある時、行水する僧侶の背を流した。その背には、夥しい棘が、抜かれぬままに朽ちていた。
衆生は、その背に縋りつき、いつまでも激しく嗚咽し打ち震えていたのだ。
嗚呼、あなたのその静けさは、もの見ぬ意思の表れではなく、ましてや幸福の安らぎなどであるはずもなく、ただただ生きることの苦しみを耐えていたのですねと、このことを、わたくしはどなたにお伝えすればよいのですかと、もはや屍となった僧侶の背に、いつまでも縋りつき、激しく嗚咽し打ち震え続けていたのだ。
あなたさまがお赦しになったものは……
明日、懐かしい人に会うのです。