愛する子供たちへ
ずっと父さんは穴ぼこに落ち込んでいました。
毎日、お芝居という仕事はしていたけれど、現実は夢のようでした。
ただただ書物とだけ交渉をもち、自分の心の中だけを覗いて過ごしていました。
もちろん好き好んでそうしていたわけではありません。そんな自分に嫌気がさしてもいました。早く穴ぼこから抜け出したかった。そのためにこそ書物が必要だとも思っていたのです。しかし読めば読むほど、蟻地獄のように逆にその穴ぼこに捕らえられてゆきました。
そんな父さんを救ってくれたのが「おきなわ」なのです。

このノートは、父さんがどうやって「おきなわ」に導かれて穴ぼこから出て行ったかの記録でもあります。読んで、君たちはどう思うのだろう。「おきなわ」を知ってもなお、グルグルと迷い続ける父さんについて、でも弁解するつもりはない。ただ父さんは、きっと心から感謝していたのです。