昨日、下町の小さなビルの、そのてっぺんにある劇場の、その支配人から聞いた話。それを書こうかと思っていたのだが、不景気な話だからやめることにした。

僕の芝居に客が入らないのは誰の所為なのか、それは自分の所為だといえば潔い。君の芝居に客が来ないのも、要するに君の責任なのだと言っても、この世界に生きるものなら、きっと甘んじてその苦言を受け入れる以外にないだろう。
だが、君に仕事が無いのは、君の所為だと言ってしまったら、傲慢の謗りを受けても仕方あるまい。

不景気の気配を感じ始めてから、僕はずっとこのことを考えてきた。
気配は、もう気配ではない。
たったひとりになって、土でも耕したいと、時々思うのだが、君たちに仕事が無いのは、君たちの所為なのだから、勝手に生きていきなさいなどと、とてもではないが言えないので、僕はひとりになることができない……

いや、そうではない。
下町の小さなビルの、そのてっぺんにある劇場の窓から、夜の街を見下ろしても、僕にあてがわれるべき土地など、どこにもないのだから。